名称未設定

竹原ピストル ⇔ ツチヤタカユキ

ツチヤタカユキさんの敬愛するミュージシャン・竹原ピストルさんに、『笑いのカイブツ』を読んで頂き、真摯な言葉をいただきました。

竹原ピストル → ツチヤタカユキ

共感したり、同情したり、壮絶さに息を飲んだり、ときによっては嫌悪感を覚えたり。
心の忙しい一冊でした。

それでいて、読み終わった後の素直な気持ちとして、ぼくはツチヤさんのことを好きだとも嫌いだとも思いません。
ツチヤさんが正しいとも間違っているとも思いません。

ただ、本文中の何箇所かに散りばめられている、ツチヤさんの“ボケ”達に、ぼくはツチヤさんだけに対しての笑い声を上げました。
それだけは確かであり、そして、ひょっとしたら、ツチヤさんにとってはそれ以外に、それ以上に確かな“繋がり”など無いのかもしれません。

もしそうなのだとしても、ツチヤさん、それでいいじゃないですか。
それもいいじゃないですか。
それがいいじゃないですか。
“繋がり”続けていきましょうよ。
つまり、生き続けていきましょうよ。


竹原ピストル

------------------------------------------------------------

ツチヤタカユキ → 竹原ピストル

拝啓 竹原ピストル様へ

はじめまして。ツチヤタカユキと申します。
今回は、自分の小説を読んで下さって、文字から
体温が伝わってくるような、胸に染み渡るコメント
を下さり、本当に、ありがとうございました。

何故、自分のような誰からも分からない人間から、
本の帯コメントを頼まれたのか、もしかすると、
不思議に思っていらっしゃるかもしれませんので、
全く、ご興味は無いかもしれませんが、どのように
して、竹原さんを好きになったかを、書かせて頂く
事を、お許し下さい。

今から、5年前、23才で、ハガキ職人をやりながら、
アルバイトをしていた頃です。
MHKというコント番組のエンディングで流れた
『ふうせんガム』という曲を聴いて、衝撃を受けま
した。
それは、今まで僕が聴いた音楽の中で、最も優しい
曲で、子どもの頃、お母さんに唄ってもらう子守唄
を、大人に向けて作ったような、曲で、すぐにその
CDが欲しいと思いましたが、当時の自分は、その辺
にいる小学生よりも貧乏だったので、買えませんでした。
CDは買えませんでしたが、その曲は、しっかりと脳裏
に刻まれて、口ずさむまでになりました。

当時、僕はバイト先で完全に浮いていましたが、その
バイト先には、僕と同じくらい浮いている男がいました。
太田くんといって、休憩中はずっと、ノートに不気味
な絵ばかりを書いていた美大生の奴でした。
ある日、シフトが、僕と太田くんの2人だけになった
時、太田くんが話しかけて来ました。
「ツチヤ君は、音楽とか、誰が好き?」
僕は、しばらく考えましたが、その間ずっと脳内に、
『ふうせんガム』が流れていたので、「竹原ピストル」と答え
ました。
すると、太田くんのテンションは今まで見た事ないくらい
高くなって、「僕も大好きで、CD全部持ってるで!」と
言ったので、自分は、「めっちゃええやん!オレ、買う金ないから
うらやましいわ」と言いました。

翌日、太田くんは一枚のディスクを僕に、無言でさし出
して来ました。
そのディスクの中には、CDからコピーした、竹原さん
の曲が10曲入ってました。(違法行為でしたら、
すみませんでした)。

『ふうせんガム』『Catch me if you can』
『no more 人間関係』『オールドルーキー』
『メルセデスベンツ』『brother』『流れ弾』
『諸々、大丈夫だよ』『フィッシュオン!!』『BOY』

それ以来、夜、寝る前には、必ずそのCDを
聴きました。

何百回も何千回も、何度も聞いて、そして、何度も、
助けられて来ました。

東京から大阪に帰って、どうしようもない日々を
過ごしていました。
そんな日々にトドメを刺して下さったのが、
『俺のアディダス』の中の「是が非でも避けるべきは、
戻ろうと思えば、いつでも戻れるような場所に留
まることさ」という歌詞でした。
その言葉は、まさしくその頃の自分を言い表わし
ていました。

そして、一歩を踏み出すきっかけとなったのが
『オールドルーキー』の歌詞、丸ごとです。

三年間ずっと、立ち止まっていた人間が、
再び走り始めて生まれたのが、先日、
読んで頂いた小説です。

完全に竹原さんが居なければ、生まれていない
作品なので、この度は、僭越ながらではありま
すが、帯コメントの方を、お願いさせて頂き
ました。

読んで下さった事に、感激して、頂いたコメントに
胸が震えました。

今回は本当に、ありがとうございました。

これから先もずっと、竹原さんの曲に、
助けられて、生きていく事でしょう。

一番、カッコイイと思う人であり、
ずっと憧れ続けて、生きていく事でしょう。

竹原さんに頂いたコメントを胸に、
これから先もずっと、自分にしか出来ない繋り
を、大切にして、生きて参ります。

本当に、ありがとうございました。

敬具
ツチヤタカユキ


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

9
〝伝説のハガキ職人〟による心臓をぶっ叩く青春私小説『笑いのカイブツ』ツチヤタカユキ、2月16日発売(文藝春秋社)。 他を圧倒する質と量、そして〝人間関係不得意〟で知られるツチヤタカユキ、27歳、童貞、無職。その熱狂的な道行きが、いま紐解かれる。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。